にいがたアニメ・マンガフェスティバル2011レポート【第1回】

第1回は2月26日(土)に開催されたイベントレポートとマンガ家 カトウコトノ先生へのインタビューをお送りします☆

(2011年4月13日)


【ゲストインタビュー】 マンガ家 カトウコトノ先生

イベント開催中の忙しい中、時間を作っていただいたカトウコトノ先生。現役で活躍するプロのマンガ家からの話は貴重です!



当日も大盛況だったカトウ先生のパネル展。▼

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Q:今回の官民一体イベント、初めにお聞きになった時どう思われましたか?


A:楽しそう!…でもどうなるんだろう?ちょっと想像がつかなかった…かな。


Q:実際にご覧になってどうですか?


A:ごめんなさい。まだ他を見れてないんです…(笑)。


Q:先生の故郷新潟が「アニメ・マンガ大国」として国内外に発信されていくことをどうお感じですか?


A:嬉しい事だと思います。結果的にこのことが、マンガ家にとってやりやすい環境が新潟に整うことになると思うんです。だから余計に嬉しい。


Q:新潟で作家活動をされている理由はなんですか?


A:ひとことで言うと「新潟が好き、家族が好き」だからです…ね。

大学生の時は東京で一人暮らしをしていたんですけど、ちょうど4年生の時に中越地震があって、自分の中にある「新潟への思い」を再認識したんです。…なんて言うか、家族の死を身近に感じた…というか。あぁ、こうやって私が東京にいて、家族が新潟で死んじゃったら、すごく後悔するだろうなぁって。だから新潟に帰ろうって決めました。で、JAMに入学して、そのまま家族と一緒に暮らしながら仕事をしてます。やっぱり家族がいてくれると、精神的にすごく楽ですね。


Q:東京の出版社さんとは、どうやってやりとりをされているんですか?


A:ほぼFAXと電話でのやりとりです。FAXはでーん!といいものを入れましたよ!特にこれで不自由を感じたことはないので、今はどこでも作家活動ができるんだと思いますよ。ただ、新潟でいいことは、腕のいいアシスタントさんが揃うこと!同じように地方で活動する友人が言ってたんですけど、地方都市で新潟ほどレベルの高い人材がそろうところはないって。JAMさんの教育の賜物ですね!


Q:「新潟出身のマンガ家は○○だ」というような定説はありますか?


A:編集者の方がよくおっしゃるのは「新潟の子は考えに考え抜いて提出してくるから、完成度が高い」って。南の方面の子は「こんな感じかな?」ってとこで出しちゃうそうなんです。でも、まぁこれは善し悪しですよね。悶々と一人の世界で詰めちゃうより、ある程度の段階で見てもらってアドバイスをもらう方がいいこともありますからね。


Q:幼少期はどんなお子さんでしたか?やっぱり絵を描くのが好きでしたか?


A:そうですね、テレビアニメが好きでしたね。『オバケのQ太郎』とか『ドラえもん』とか、ごくごく一般的ですけど(笑)。あとは、幼稚園の時、よく画用紙1枚に1コマっていうマンガを描いてましたね。絵本みたいな感覚ですね。


Q:…と、言うと、マンガを描き始めたのは…


A:幼稚園ですね(笑)。


Q:処女作はすでに幼稚園時代に…スゴイですね。描き始めるきっかけは何だったと思いますか?


A:私の母が手塚治虫先生の大ファンで、先生のマンガがいつも家にありました。今思うと、自然に私がマンガを描き始めたのは、このことがきっかけになってたのかな〜と。


Q:幼稚園の頃に描いていたキャラクターはどんな人物でしたか?


A:お姫様ですね、ひたすら(笑)。とにかく姫キャラに憧れてましたね。


Q:影響を受けたマンガ家さんはいらっしゃいますか?


A:ジャンルを問わず多くの作品に影響を受けていると思いますが、最も影響を受けたのは『幽遊白書』の冨樫義博先生です。あの展開が全く読めない、セオリー通りではない展開に「こんなのもアリなんだ!」と…。衝撃的でしたね。


Q:その影響は現在連載を続けてらっしゃる『将国のアルタイル』にも?


A:そうですね。特に結末に白黒付けない感じ、世間一般の価値観を覆すような展開を心掛けているところなどに影響を受けていると思います。


Q:これからマンガ家を目指す人に向けて「これだけは絶対にやっておいた方がいい!」というアドバイスをお願いします。


A:マンガを描くこと以外のことを、なるべくたくさんやっておいた方がいいです。マンガから外れたところから得る経験が、結果的にマンガに生きてくるんです。私も母の指導で、部活はあえて文化系ではなく体育会系を選びました。「あんたは放っといてもマンガ描くんだから、部活は別のことをしなさい。」って。確かに、あのテニス部で得たスポコン体験は生きてますね〜。


Q:最後に、今後の新潟に期待することをお聞かせください。


A:観光政策とかあまり詳しくないのですが、新潟駅前でもう少しなんかやった方がいいように思います。アニメ・マンガに関係する人にとってはいい環境になっているので、それだけじゃなくて、それを観光資源にして集客ができるようになるといいですね。



幼稚園に通っていたときからすでにマンガを描いていたというのは驚きでした!!そのころから、片鱗は見えていたのかもしれませんね☆また、お母さんの一言が与えた影響というのも大きいですね。好きな事から外れた事を経験することで、自分自身の、また作品作りの幅も拡がる可能性がありますし。

素直に受け入れて、それを活かしている事が現在のコトノ先生と作品を生み出しているんだろうなと感じました☆


【イベントレポート】 ~ 懐かしのアニメ無料上映 ~

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にいがたアニメ・マンガフェスティバル2011開催初日。

午前中、まだお休みモードかな?という古町にある日本アニメ・マンガ専門学校で、無料上映される『鉄腕アトム』を鑑賞しました!会場には大きなスクリーンと本格的なスピーカーが。映し出される映像はモノクロで、どこかレトロな雰囲気が漂う素敵な上映会でした。

会場に仲良く入って行ったチビッコとおじいちゃん、早起きして来て良かったね♪


【イベントレポート】 ~ カトウコトノ先生 トークショー ~

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なんて謙虚で優しく素敵な人!トークショーを聞いて素直に感じたカトウコトノ先生の印象です。

「新潟が好き」「家族が好き」そんな思いも節々に感じることができました。元担任の先生から投げかけられる容赦ない質問にも丁寧に答え、最後には参加者からの質問にも気軽に答えるコトノ先生。質問者の顔が見えにくいと思ったら自ら席を立ち、顔が見える位置まで移動するコトノ先生。「マンガを描くことは私にとって、社会とつながる手段です」と冷静に答えるコトノ先生。本当に魅力的な方でした。こんな素敵な方が新潟で作家活動を続けてらっしゃること、新潟でマンガ家を目指す人たちにとって、大きな心の支えですね♪

開演前からほぼ満席の会場は、先生の優しい雰囲気に包まれ、大盛況のうちに終わりました。

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▼講演内容

(一部質問の内容がインタビューのものと重複するものがあります)


司会進行(以下「Q」):カトウコトノ先生、今日はお越しいただきありがとうございます。私からの質問に答えていただく、という形でトークショーをお願いしたいと思います。…と、硬い感じで始めましたが、私、実はカトウ先生の元担任なんです。なので、遠慮なく、進めさせていただきますね(笑)。

カトウ先生(以下「A」):はい…、よろしくお願いします(笑)。


Q:もの静かな雰囲気のカトウ先生ですが…、編集さんとの打合せになるとアツくなる!って聞いたんだけど、ほんと?


A:そうですね、描きたい内容に関してバトルもしばしばあります。でも私の作品は編集さんあってこそなんです、ほんと。編集さんが的確なことを言ってくれるから、いい作品ができるんです。7割は編集さんが作ってるんですよ。私はその残りの3割担当です(笑)。


Q:今のアシスタントさんはJAM時代のクラスメイトなんだよね?


A:そうなんです。みんなすごくレベルが高くって。すごいですよ。


—実際にアシスタントさんが描いた場面をスクリーンに映して解説。


—カトウ先生がJAM在学中に描いていたものがスクリーンに。

—恥ずかしがり、嫌がるカトウ先生。


Q:いやいや、この頃から才能がみられますよ、やっぱり。でも、ほら、最近描いている絵は、結構自信作でしょ?


A:いや、昔も今もいつも自信はないんですよ。私は第3者の意見に影響を受け易いので「いいんじゃない」と言われると「いいかも」と思う。

でも、そうじゃなければ「あ〜やっぱりダメかな〜」って。自分に完璧な自信はないですね、今でも。


Q:JAMに入学して初めて描いたのがこの『君主論』なんだよね?


A:そうですね。


Q:これを描くに至ったいきさつを教えてもらえますか?


A:JAMに入学する前は、東京の大学に通っていたんですけど、その時にトルコの歴史を研究していて、漠然と「あ〜トルコのマンガが描きたいなー」と思っていたんです。それで描きました。


Q:そもそもトルコの歴史に興味を持ったのはなぜ?


A:昔、トルコの歴史の本を読んだのがきっかけですね。トルコの歴史って学校じゃあんまり詳しく教えてくれないじゃないですか。でも自分で調べてみたら、あの辺りってずいぶん昔から必ず国があって、またその国が入れ代わり立ち代わり変わる。その激動のドラマチックさに惹かれたんだと思います。


Q:なるほど。そしてこの『君主論』が現在連載中の『将国のアルタイル』の原型になってるんだよね?


A:そうですね。


Q:では『君主論』が『将国のアルタイル』になるまでのことを簡単に教えてもらえますか?


A:JAMに在学中、いつも先生から「一番描きたい!と思うものを描かないと戦っていけない」って言われていたんですけど、私にとって「一番描きたい!」と思うものは、早々に『君主論』で描いちゃったんです(笑)。しかもそれで賞まで頂いてしまった…。正直、その後が辛かったですね。何を描いたらいいのか分からなくて。


Q:なるほど(笑)。そして、どうしたんだっけ?


A:ホント苦しみまくったんですけど、ある時ふっ切れて「とにかく何か描いて編集部に持って行って、反応を見てみよう!」と。そして『アナスタシアの親衛隊長』が出来上がりました。


—『アナスタシアの親衛隊長』の表紙がスクリーンに映し出される。


Q:これがデビュー作になるんですね。


A:そうですね。それで、その後に編集さんからトルコの別のものを描こうとお話を頂いて『将国のアルタイル』が生まれました。


Q:主人公のマフムート君もモデルがいるんだよね?


A:はい。マフムート・パシャっていう実在する人物です。基本的にはフィクションですけど、ところどころ史実に基づいているものがあるんですよ。3巻…だったかな?に出てくる「コンスタンチノーブルの戦い」なんかも史実からヒントを得てます。


Q:デビューするまでの間、先生が心掛けていたことってありますか?


A:東京から新潟に帰ると決めた時からずっと思っていたことは「東京でデビューするより新潟でデビューする方が難しいはず。だから一瞬たりとも気が抜けない!」ということです。それで、JAMの授業は全部真剣に受けていましたね。まぁ、実際デビューしてみると、東京と新潟でそんなに違いはなかったですけどね。


Q:カトウ先生がマンガを描いていて一番嬉しいのはどんな時ですか?


A:やっぱり、読者の方から「面白かったです」って言ってもらえる時が一番嬉しいですね。


Q:では最後に、先生にとって「マンガ」とは?


A:そうですね…「社会に出るためにツール」でしょうか。私はマンガを描くことによって社会とつながっている。そう思っています。




「東京と新潟とでそんなに違いはない」という言葉は、地元で頑張ろうと思っている人たちにとって励みになりますね。

また最後の「マンガを描くことによって社会とつながっている」という一言も、マンガ家ならではのものだと思いました!


以上、第1回をお送りしました。いかがだったでしょうか。

次回は開催初日に行われたイベントレポートを中心にお送りします!

にいがたマンガ大賞